さて、ちびちゃんママをなぜ地域猫に戻したのか…
あれほど、大切に子供を育てていたのに
なぜ、一緒にしなかったのかと…
勿論、それが理想でした。
捕獲に至っては紆余曲折がありました。
ちびちゃんママを早急に
避妊するために、まずは何より
子猫たちを先に保護する
必要がありました。
母猫を先に捕獲してしまえば
たちまち、仔猫達は彷徨い
飢えてしまうからです。
逆に言えば、母猫が居る状態で無いと
子猫たちを全て保護出来ません。
ちびちゃんが子猫たちを屋根裏から
地上に無事導いてくれる時をひたすら待ちました。
ようやくその時が訪れ、子猫を保護し、
ちびちゃんの避妊手術を実施しました。
麻酔から覚めたちびちゃんを翌日病院に
迎えに行くと、御飯や水に全く
口を付けておらず、かなり怯えた様子。
一晩経ってもおしっこもしていません。
以前、家猫にしようとしたミーコさんの
一件が頭をよぎりました。
ミーコさんはご近所さんでお世話に
なっていた地域猫。
既に18歳くらいの高齢で、先代猫が亡くなった後、
せめて、晩年は…と家猫にすることに…
当時は今のちびちゃんよりもずっと懐いていたし
暫くすれば、きっと家に馴染んでくれると
そう信じていました。
最初は四六時中、一緒に居ないと鳴いてばかり。
その後も、外の自由な暮らしを
忘れられず、ストレスにならないよう
外の時間とうちの時間を少しずつ調整しながら、
何度も試してみましたが、
結局どうしても家に馴染むことはありませんでした。
それどころか、猫天国のようなうちの
地域で自由きままに暮らしてきた
ミーコさんにとって、むしろ、
家で暮らす方が辛そうでした。
以前住んでいた地域では、
到底、考えられない事です。
確かに寝床と餌とトイレがあって
外の自由さと狭い家の中との暮らしを比べてみれば、
不利な点は、多少の寒暖差と新参者の猫との
いざこざくらいかもしれません。
結局、外の暮らしの方が辛いと
思い込んでいた私の考えが
間違っていたと思い知らされ、
やむなく、ミーコさんを開放することに…
ちびちゃんママも同じ理由です。
ちびちゃんにとって、本当の幸せとは何か
地域の現状も考慮して随分と悩みました。
猫は本来、自由きままに広範囲に行動する動物。
それが許される環境ならば、猫にとってはそれがベスト。
とはいえ、どれもこれも地域猫にするのは
あまりにも無責任。
いくらトイレの準備をしても、頭数が増えれば
それなりの被害が発生します。
比較的、猫に好意的な環境ではあるものの、
地域の方全てが猫好きとは限りません。
ちびちゃんの現状は既に数軒のお宅で可愛がられ
安全な寝床もあるようで、ちびちゃんなりの充実した日々を
過ごしているようでした。
仮に一時的に一緒にしてもパニックになって
子育てどころではありません。
そのうち慣れるかもしれませんが、
避妊した体に子供の世話、母猫のストレスを
考慮すると精神的負担は大です。
とはいえ、子猫達をそのまま
ちびちゃんの元に戻しても
いずれ、去勢不妊の手術が必要です。
流石に、正確に避妊の時期を見定め
再び捕獲するのは非常に難しいことです。
いろんな考えが頭を巡る中、
怯える瞳と小刻みに震える姿を目にして
決心しました。
一刻も早く、ちびちゃんは元に戻そうと…
捕獲前は子猫をあれほど探していた
ちびちゃんでしたが、うちの家から
鳴き声がすることが分かり始め、
手術したことで、おっぱいが
張らなくなってきたことも相まって
不妊手術後は、仔猫を探すことが
無くなりました。